シリコンバレーでドットコムバブルがはじけた後、IT業界のリーダーの間で「われわれの業界も成熟した。今後の成長率は、GDP全体の成長率と変わらなくなるだろう」というのが流行になったことがあった。
しかし、そのような見方はいささか視野が狭い。半導体業界とソフトウェア業界の先に目を向ければ、今日すでに存在する技術を基盤としてサービスを提供しようとする巨大な産業が見えてくるはずだ。この巨大な産業と持続的な成長を隔てているのはテクノロジー自体の壁ではなく、そのテクノロジーを導入し利用する上での文化的な壁である。そして、この壁がなくなるには時間がかかる。
この文化的な壁は、何もIT分野に限ったものではない。これまでにも同じ壁を乗り越えて発展してきた例がある。そして、多くの重要な技術の歴史を振り返ってみれば、個別化、標準化、ユーティリティ化という、3つの発展段階を経ていることが分かる。